インデックス作りました。
少女・女性漫画さくいん
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2009年01月27日

ほしよりこ/きょうの猫村さん1〜3巻



この本ってもう何年も前に流行ったんですよね。かなり今更で恐縮です。先日ふと手に取ってみましたら猫村さんの癒しパワーに圧倒されましたもので…。いやあ、こりゃ人気出るのわかりますね。

たぶん猫村さんが人間のおばさんだったら大したことないんです。むしろ人の家庭に首突っ込んできてうざいくらいかも。見かけだけは立派な猫なのに二本足歩きで人間の言葉をしゃべって、離れ離れになってしまったぼっちゃんにいつか会いにいくという目標のために一生懸命家政婦したり漢字ドリルやる姿がいいのです。家事してるときの妙な歌とか最高。

ほんわかとした鉛筆書きのタッチに癒しキャラの主人公。しかし猫村さんが家政婦をしている犬神家はそれとは対照的で家庭内不和により雰囲気が悪く、そのミスマッチ感にまた良い意味で身が引き締まります。ただの癒し系猫マンガじゃあないんだなっていう。

ちなみに、コマが大きいから読みやすいかもと思って試しにうちの母親(それでも50代)に勧めてみたら、ハマったらしく一日で1冊読み終わってた。でも字を追うのに必死で絵はろくに見てないらしい…もったいないこと。

2009年01月12日

松田奈緒子/少女漫画



ネタばれありです!

ずいぶん前にこの記事を書きかけのまま放置していたら、この作品がいつのまにか「このマンガがすごい!2009」にランクインしていた!すごいですね、おめでとうございます。

ネットサーフィン中にたまたま引っかかってきた反フェミニストらしき方のブログでこの漫画がぎったぎたに貶されてて、ここまでひどく言われるってどんな漫画なんだろうと逆に興味が湧きました。松田さんの本は既に1冊持ってるので特に迷いもなく。

第一夜 ベルサイユのばら
漫画を読むのが趣味でありベルばらのオスカルに憧れる派遣社員の三沢勝子。正社員との待遇の違いを嘆き、どれほど働いても報われない状況を脱しようと三沢が起こした行動は…。
出来過ぎなラストではあるけれどなんだか元気が出てきます。こういう元気をもらうため、というのが私が少女・女性漫画を読む理由の一つであると言えますね。

第二夜 ガラスの仮面
"女子アナ界の姫川亜弓"とマスコミに揶揄される万城目雅。一見お高くとまって見える雅だが、影では努力もしているし裏方への感謝も忘れない。しかしそのとっつきにくさからキャスターを降ろされ…。
そしてお色気アナウンサーの丸美が枕営業により雅の後任に就きます。どれほど丸美が北島マヤと称するにはふさわしくないか、が重点的に描かれていたように感じました。これはこれでおもしろかったですけどね。

第三夜 パタリロ!
パタリロによく似た息子・一(はじめ)を持つ母親の東花子。憩いの場であるママサロンで、サロン仲間の浅田さんに英才教育を進められ…。
『パタリロ!』って読んだことないんですけど、パタちゃんはじめちゃんはとてもかわいいです。

第四夜 あさきゆめみし
結婚に希望を見出せない図書館司書の田村由布子。図書館に出入りする出版社の営業マン・上薗と割り切った体の関係をこっそりと続けている。由布子にとっての光源氏は上薗であったのだが…。
この5作品のオマージュ元の中で私が実際に通しで読んだことがあるのがこの『あさきゆめみし』だけであるせいか、登場人物の関係や状況が、他の章よりも顕著にオマージュ元に例えられているように見えました。特に
女は全ての姫になれなくても六条御息所だけにはなれるのだ-----
というモノローグが印象的でした。文学的な美しさで女の情念のようなものがうまく描かれています。

第五夜 おしゃべり階段
パリコレ出演という経歴を持つモデルのキワコ。セレブになりたいキワコは実家がラーメン屋であることをひどく恥じていたが…。
キワコの身の振り方がちょっと微妙かなあ。こっちがだめだからあっち、みたいなのは…。手足がひょろ長いという理由で宇宙人と呼びキワコをいじめていたという同級生のサトコ、キャラ的にかなり強烈なのに見た目は適当描きされてるところがおもしろい。

最終夜 少女漫画家たち
物議をかもして(?)いるのはこの章でしょうか。これまでの章にちょいちょいと出てきては"売れない"アピールをしてきた少女漫画家"俵あん"が、自分にとっての漫画を描く意味を見つめなおし、少女漫画家としての方向性を見出すまでの過程が描かれます。

青年漫画家のメンバーとの飲み会にて、「少女漫画はレベルが低くて読めない」「青年誌はあらすじ読まされてるみたいでつまらない」といった一触即発なセリフの応酬の後、女性誌から青年誌に移ったら爆発的に売れたという"ぽん太"さん(女性)の一言。
女は少年漫画も青年誌も読むけど、男は少女漫画を読まない。それは面白くないからじゃなくて、男は自分達の価値観に女が近付くのはかまわないけど、自分達が女の価値観に近付くのは絶対にイヤなのよ。(P187)
うーん…考えすぎなんじゃないかなあ…。男性が少女漫画を読まない理由は、単に恋とか愛とかにまつわる心の機微を味わったり共感したりという行為を漫画に求めてないからなんじゃないですか?表紙に大きく描かれた瞳のようにきらびやかな絵柄に目が滑ってしまって読めないという人もいるでしょうし。興味を持てないのだから無理に読む必要もない。

画を目で読んで視覚的に楽しむアクションやスポーツ漫画、感情移入することで楽しむ恋愛漫画、などなど、自分が漫画を読むことで何を得たいのかでジャンルの選択が決まっていくわけで、表向き少年/少女という分け方をされてはいても、読者側の取捨選択にそれらの性別は大して関係ないはず。

とはいえ世の中を見渡せば、"女子供"という言葉が"劣るもの"の代名詞のように捉えられるのと同様の感覚が"少女漫画"にもあることも確かに否定はできないんですよね。うーん。

そんな問題を投げかけつつ、俵あんは天啓を得て自らの道を切り開くことになっていきます。

最後まで読み終わって、作中で大人気を博す王道的少女漫画の描き手・麗束薔子(うららつかそうこ)の生きざまがすべてを表していると気付きました。病気で普通の生活すらも送ることができなかった彼女は紙の上の主人公に"世界を獲得"させ、そうすることで読者を楽しませると同時に自らも励まされたんだろう。帯裏のコメントにもあるように、少女漫画家の少女漫画への想い、というのがまさにキーワードになっています。

『あさきゆめみし』と『ガラスの仮面』(これは途中まで読んだことがある)以外の3作品は手にすらとったことがないので、機会があれば読んでみたいです。それから再読してみるとまた違った発見があるかも?

2009年01月10日

末次由紀/ちはやふる1〜3巻



小学6年生の千早が出会ったのは、福井からやってきた転校生・新。大人しくて無口な新だったが、彼には意外な特技があった。それは、小倉百人一首競技かるた。千早は、誰よりも速く誰よりも夢中になって札を払う新の姿に衝撃を受ける。しかし、そんな新を釘付けにしたのは、千早のずば抜けた「才能」だった-----。
まぶしいほどに一途な思いが交差する青春ストーリー、いよいよ開幕!!(1巻裏表紙より)

この作者さん復活したんですね。『ちはやふる』は人気があるらしいということだけ知っていて、2巻と出たばかりの3巻を古本で見つけてしまいこれはお買い得かも?!と思って買ってきました。そんなけちくさい理由で読み始めたにもかかわらず、結果的には新年早々大当たりと言える漫画でした!

なんたって、1巻を読んでない状態にもかかわらず2巻からすっとストーリーに入り込めて一気に全部読んでしまったのです。そしたらいてもたってもいられなくなって、その日のうちに本屋に行って1巻を買ってきてしまいました。今は1〜3巻を繰り返し読んでます。とにかく黒目勝ちな絵柄が私の好みですし、内容的も何度読んでもおもしろいんです。

最初は「かるた」と聞いても、作中の千早のクラスメイトたちのようにそのおもしろさがぴんと来なかったので、読む前と読んだ後でここまで印象が変わるものかと驚いています。

描かれているのは競技かるたというものです。上の句と下の句との関係、下の句の札の配置とか団体戦の並び順とか、「囲み手」とか、まさに競技と言うにふさわしいテクニックが満載。かるたの戦いシーンも臨場感たっぷりで、千早は耳がものすごく良いという設定なのですが、その力を発揮する瞬間の描写は「目で画を読む」という感覚のスポーツ漫画のようでもあります。床に積んで放置していたら彼氏(主に読むのは青年漫画)が勝手に、しかも繰り返して読んでいたので、男性でも読みやすい女性漫画と言えるのではないかなと思います。

1巻は千早、新、太一の小学生時代から始まり、2巻半ばから高校生時代へと展開が移ります。今のところラブ要素は太一→千早をにおわす描写が少々あるくらいで基本はかるた漫画なので、ラブ関係を期待してる人はつまらないかな?今後三角関係になって千早がどっち選ぶか、みたいな展開もありえそうだけど、このままかるた漫画に徹していってほしいな。



2008年12月30日

雁須磨子/かよちゃんの荷物1巻



主人公・かよちゃんは30歳、いつも大きなバッグを持っている。バッグの中身はおやつ、お茶の入った水筒、雑誌ばかり3冊、各種病気に対応する薬などなど。きっといつか素敵な男性との出会いに役立つに違いないと友達に力説するかよちゃんなのでした。そしてその後、電車内で腹痛のために顔に脂汗を浮かべている男性と出会い…。

ずっと読んでみたいなと思っていて、本屋で見つけたので買いました。

かよちゃんと私は同い年になるので、彼女の状況はなかなかひとごとではないです。仕事をやめてブクブク太ったり年下の兄弟が先に結婚を決めたり、合コンで相手に恵まれなかったりマハラジャを助けたがったりに見初められたがったり。そんなかよちゃんを助けたり、時には厳しいつっこみをかましたりする友人ひとみちゃんとまきちゃんも好きです。

後半でかよちゃんが就職した雑貨屋さんの店長とかよちゃんの関係がどうなっていくのか気になりつつ、待て2巻。
ていうかこの1巻は2007年5月に出てるみたいでもう随分経ちますけど、2巻まだ出ないのかな〜。



2008年12月28日

松尾しより/君がくれた太陽



創業まもない福屋百貨店。その紳士服売り場に、毎週日曜に必ず現れては芙美子からネクタイを買ってゆく男がいた。その客の名は寛二という。いつしか二人は恋に落ち、やがて夫婦となった。「広島の強さを伝えたい」−松尾しよりが渾身で描く、あの日の広島の物語。(上巻裏表紙より)

辛口感想です。

松尾さんの漫画は他にも読んだことがあり、当ブログの感想記事にもいくつか載せています。この作品は戦時中の広島が舞台ということで、なるほど展開が想像できるなあと思いながらも、帯で「戦前から被爆、そして復興の道をたどった広島の強さを伝えたいと願う著者の思い、そうして重ねられた事前取材の重さが、この作品に独特の存在感を与えている。(中国新聞社)」と絶賛されているので買ってみました。

上巻では三角関係とかヒーローに因縁つける悪役の登場にデジャブを感じて、以前描かれた作品と似たような、戦争のせいでくっついた離れたが主題となるような恋愛話なのかとがっくりしそうになりました…。それが悪いというわけではなくて、取材を重ねてこの作品を通して広島の強さを伝えたいという、その意気込みと実際の内容とが違うんじゃないかなと思ったのです。ですが読み進めるとそういう展開ではなく、広島を郷里として愛する人たちの家庭、家族という安定した人間関係が築かれている上で原爆の悲劇が起こるという、あくまで"ヒロシマ"を描いたものとなっていたので、その点では幾分ほっとしました。

しかしやはり悪い意味で女性漫画の域を出ていません。凄惨なはずの原爆投下直後の画面、主人公たちの負傷の程度などがキレイすぎるんです。そして福屋百貨店が創業以来歩んできた道はお店のサイトを見ればこの作品に描かれたとおりに掲載されていますし、原爆ドームの元の姿もしかり。今はこのようにインターネットという便利なものがありますので、ご自身の足で取材をしたと言っても結局その中身は上っ面の事実だけのように見えます。一般的な戦争ものにありがちな涙を誘うエピソード以外に松尾さんの広島への思いが紙面から読み取れず、心に深くずしっとくるものがない…。

そのほか残念に思ったのは一人残った娘・笑子の戦後が、戦前の描写と比べると概略的に流されてしまっていたことです。被爆者ということで順調とは言いがたい半生を送ってきたけど、家族への思いという支えがあって乗り切ってきたという内容。亡くなった家族の分も生きると誓った彼女こそが広島の再建の象徴のようでもあり、趣旨に沿うなら笑子をもう少ししっかり描くことも大事だったのではないでしょうか。

私は関東に住んでいるので、広島へは高校の修学旅行で訪れました。原爆ドームを目の当たりにした時はそのたたずまいに言葉を失いました。周囲は他の街と変わりなくビルがそびえて緑が茂っているのに、そこだけは時間が止まっていて、ここで起きたことを忘れてはいけないと語りかけているような、荘厳な雰囲気を感じたものでした。記念写真を撮ってはしゃぐような場所じゃないと、しっかり目に閉じ込めていったあの景色を今も思い起こすことができます。

一度広島を訪れたきりのこんな私でさえ、悪くはないのだけど正直看板に偽りありと言えなくもないのでは…と思うような内容でした。広島で生まれ育ち、地元の歴史として原爆投下による被害を学び、毎日のように原爆ドームを目にしてきた人がこの作品を読んだらどうだろうか?私とはまた違う感想を持つのではないかなと思いました。